開花調整について
フローリストのいろはです!
今回は【花の開花調整】についての内容となっております。あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、読んで字のごとし、花が開くタイミングを調整する事です。つまりは、花を意図的に咲かせるという事です。
いきなり余談ですが、桜花賞というレースが行われる競馬場の桜の花は、当日に満開になるように開花調整されているそうです。
氷を足元に置くとか、お湯を与えるとか諸説ありますが、大変な苦労をされていると聞きます。(噂なので真相はわかりませんが、毎年綺麗に咲くことで知られています)
つまり開花調整と言うのは、狙った日に花の一番きれいな咲き加減を魅せるという事を意味します。
開花調整には主に二つのパターンがあります。それは、
①開花を遅らせるパターン(なるべく満開までの時間を稼ぐ)
②開花を早めるパターン(満開までの時間を短縮させる)
の2つになります。
いずれも、気温が大きく関わります。基本的に温度が高い方が花は早く咲きます。
それぞれ紹介していきますが、開花調整はどうしても限界がある事を承知の上で参考にしてみてください。
①開花を遅らせるパターン
意外に思うかもしれませんが、①の開花を遅らせる事は、非常に簡単で、温度を下げれば出来る事です。
もちろん限界はありますが、10度前後で有れば、バラや百合などの蕾から徐々に咲くタイプの花の開花は、かなり緩やかになります。
涼しい所に置く、または涼しい環境を作ることで、ほとんど解決する事ですね。ただし、冷やしすぎは厳禁です。5度くらいまでが限界です。
特別な例 【桜の開花調整】
先程、紹介しました桜花賞の桜の開花調整ですが、切花としての桜の開花調整は、温度による調整以外に、もっと特殊な方法を用いる事があります。
それは、水を切らせるという方法です。そのままですが、バケツから桜を出して、放置するという方法です。
そして涼しい所で保管して、花または蕾が水を下げて萎れてきたら、再び切り戻して水に浸ける。これの繰り返しです。
萎れてからもしばらく放置します。結構ギリギリのところまで攻める感じです。
常にギリギリの状態でキープし続ける事、首の皮一枚で繋がっているような状態にする方法です。
失敗したら枯れてしまいますので、ある程度の見極めが必要ですが、特にお祝い事の際には必須ともいえる技術です。
②開花を早めるパターン
難しいのは②の開花を早めるパターン。これが難しい。これに対して有効な手段は
①温度を上げる
23度くらいまでが限界ですが、温度を上げると早く開花します。気温によって桜の開花時期が変わるのと同じですね。
ただし、暖房の直風や、極端な気温は厳禁です。咲く前に萎れたり腐ったりします。
②葉っぱを取る
もちろん葉っぱがある花に限定されますが、葉っぱを取る事で養分が花の部分に集中するという考えですね。
③茎を短くする
これも②と同じ理屈です。切り花は、茎と葉っぱと花で構成されているので、花以外の部分を削っていくという事です。
ただ、基本的にこの方法が通用するのは徐々に咲くタイプの花ですが、どんな花でも満開を超えると散ります。
一番良いのはちょっと早めに入手して、寒い所で徐々に咲く様子を見つつ、必要に応じて①~③の方法を取り入れる方法です。
芍薬の開花調整は特別
ちなみに、開花調整と言えば芍薬が有名です。咲くまでが長く、咲いてからの寿命が短いという、花屋泣かせな一面を持っています。
芍薬に限って言えば、花の表面の蜜(ネバっとしたやつ)を、濡れたティッシュできれいに拭き取る事が効果的です。
それに加えて、上記の3つの方法を行うと、かなり効果が出ます。
asunaro-flowers.hatenablog.com
開花調整が可能な花は何がある??
開花調整が可能な花としては、流通の段階ではまだ固くて満開では無い花、つまり、バラの様に徐々に咲いて大きくなる花や、百合の様な咲き方の花があります。
逆に、初めから咲いている花は不可、というより不要です。
可能な花としては、バラ、百合、芍薬、ラナンキュラス、アマリリス、菜の花、花菖蒲など。
まだまだありますが、咲いてからの姿が大きく変わるこれらの花は特に効果的です。
ガーベラ、トルコ桔梗、ダリアなどはできません。(涼しくして長持ちさせる事は可能です)
おわりに
で、いつ使うの??って感じですねー。人によっては、『花がかわいそう』って思う人もいるかもしれません。
人間のわがまま。その通りなんですよねー。
ですが、これは昔からの風習や、日本人のおもてなしの精神に通じる一面も有ったりします。特別な日に、一番きれいな状態の花を飾る。
これって、自分の為ではなくて、その花を見る人のために行う事なんですよね。
そんな気持ちで花を見てもらえたら、何か素敵な発見があるかもしれません。
長文に関わらず読んで頂きありがとうございます♪
いろはでした♪