はなめも。~花屋のメモ帳~

現役フローリストが語る花と花屋のあれこれ。初心者向けにわかりやすく書いてます。花生活を始めませんか。

上手な花の飾り方のコツは、花の向きを見定める事にあり!

花屋同士で話をしていると、花は時として人に例えられる事があります。

 

【花の表情】を魅せるとか、【立ち姿】とか。私の師匠は、一輪の花に対して「この子がねー」とか、「花の面構えが良い。」とか言ってました。親しみを込めて、愛でる様に花に接する人が多いです。茎の事を【首】って言ったりね。

 

今回はその中でも、花の顔の向きの説明になります。

 

かなり初歩的な事では有りますが、案外知らない方も多く、それでいて花の作品の出来上がりを、とっても左右する大事な事です。

 

少しだけの花を花瓶に飾る時にも役に立つので、参考にしてみてください♪

 

 

花の向きの見極めについて

花には正面と裏側と横があります。人と同じですね。1番わかりやすいのはやはりヒマワリやガーベラなどの様に花が【面】の様になっている花です。横から見たら薄い花ですね。


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これらは、一目瞭然ですよね。見たまんまです。ですが、バラや菊の様な花は少し分かりにくいです。


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左から正面→裏→左向き→右向き

となっています。かなり微々たる差の様に感じるとは思います。花の表情で判断しても良いですが、この花は若干茎が曲がっているので、花自体が真っ直ぐではなく、少し傾いていますね。

 

結構そういう花は多いんです。最初は分かりにくい事が多いですから、そんな時はこうして真っ直ぐに持って、花や茎の傾きをヒントにするのも良いですよ。

 

花の向きが分かりにくい花

もう少し踏み入れて、分かりにくい花を紹介します。


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これは、左が正面です。まあ、正直見た目の話なので、見分けが付かなければそのままでも良いですよ。ですが、この花は上から覗き込むと


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結構表情が違って見えますよね?クルクル回しただけですよ。こういった事も判断材料になります。


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スイートピーは先端が曲がっています。曲がっている方が正面。アネモネは、茎の曲がりですね。やはり正面の方が綺麗に見えますね。

 

要は、花は一輪ずつ、正面があるという事で、見極め方は茎の曲がりや咲き方から判断します。

 

花の向きで作品が変わる

では、この花の向き。知った所でどうしたら良いの?という話です。

 

もちろん、正面が1番綺麗なので、それを意識するだけでグッと花が綺麗に見えますよ。

 

じゃあ、全部が真正面を向いていれば良いのか。どこを向けるのが正解か。答えは特に決まっていませんが、用途によって分けると良いです。置き場所と言った方がわかりやすいですね。

 

正面から見る場所に飾る

まずは1番多いであろう、正面から見る場所に飾る時。後ろが壁の時ですね。

意識するのは正面と両サイドから見られるという事。後ろは無視します。

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とりあえず、真正面と両サイドに花の表面を向けてみます。このくらい無造作な花なら、やりやすいです。

 

では、大きい花を使う場合。存在感が大きい花をあちこちに向けると、その作品の中心がブレてしまいます。そんな時は、花の表面を真ん中に向けてやります。

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迷ったらこれが一番。


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左の写真と右の写真の違いは、一番左のピンクのラナンキュラスとチューリップ、それから黄緑色のカーネーションを真ん中にというか、真ん中の上に向けています。

そうする事で、自然とまとまりが出てきます。これは、少しの花でも応用出来ます。例えば


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こんな感じです。なんとなく、写真の真ん中の上に線があって、それを見つめている感じ。わかりますでしょうか?完全に横に向けるという意味では無いです。

 

真正面に向けても良いけど、なんかつまらない感じになりがちなんですよね。そんな時は中心からズラします。そのズラした分だけ、花の向きを中心に向ける。

 

こうする事で規則性が生まれます。規則性と言うと、なんかつまらない感じに聞こえますが、要するに【人の手でちゃんと飾った感じ】が出るんですよね。

 

これが、きれいにまとまっているかどうかの違いです。もちろん、本来の茎を曲げてまでする事ではありません。その花の無理の無いところで向きを変えてやります。


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適当な組み合わせですが、なんか右の写真の方が綺麗に見えませんか?

綺麗に見える作品には必ずこういった、何らかの規則性があります。真ん中に向いていない花であっても、それが何かの役割を担っています。

 

作品を伸びやかにしたり、迫力を付けたり。意図的か感覚的かはそれぞれですが、それを読み解く力が上達の鍵になります。

 

その中で私が一番分かりやすいと思うのが花の向きです。一輪からでも応用出来ますからね。

 

テーブルの真ん中に置く場合

テーブルの様にどの方向からも見られる場合には、やはりどの方向にも正面が向く様にします。その為、選ぶ花も大きい花を使うなら1本ではなく数本あった方が作りやすいです。

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ちなみに、その時も真ん中に向けても良いです。

 

基本的には一点から放射状に、それぞれを向く様にするとまとめやすいです。

 

花が動いて向きが定まらない時

しかし、そんなに都合良く花の位置が定まらない事も多いですよね。

 

そんな時は花瓶に入れる時に敢えて茎を縛って動かなくするのも良いですし、何かボリュームのある物を入れて花の向きを固定しても良いです。

 

 

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一番魅せたい花の表情がしっかりと見せれる様に工夫してやりましょう。

 

おわりに

花を綺麗に飾るなら沢山の作品を見る事が一番良いです。

 

しかし、ただ見るのではなく、花の向きに注目してみて、なんでこの向きなのかなーって、そこが分かれば、とても有意義な事になりますし、そういう風に研究して行く事は、そんなに難しくない世の中になりました。

 

情報や素敵な画像が溢れ返っていて、簡単に見れますからね。

 

沢山の花を使って複雑に構成された花であっても、その花の配置だけではなく、向きを考える事で、花を飾るのがずっと上手になります。

 

ぜひ、花一本からでも良いので、向きに注目して楽しんで欲しいなと思います♪

 

読んで頂きありがとうございました♪