馬酔木(アセビ)
花屋で販売している木の枝の事を枝物(エダモノ)って呼ぶのですが、一般的には、なかなか買わないですよね。なんか使い方が難しそうだし、和風な活け花とかやる時に使うイメージが強いですよね。
確かに多くの枝物はサイズも大きいし、そのまま使うと難しそうな感じがすると思います。枝ぶりや枝の向きとか、剪定して形を整えるのかなーとか。正解が見えない感じ。
ところが今回紹介するアセビと言う枝物。こいつはとっても使い勝手が良くて、それでいて持ちも良い素晴らしい枝物です。どう素晴らしいかって、色々と思いつくことを書いてみますので良かったら読んでみてください♪
アセビについて
まずはアセビについて。アセビは漢字で書くと馬酔木です。馬が酔う木。こう書くと、なんか酒臭い馬を想像・・・なんて出来ないですよね。
これは、アセビの葉に【アセチボン】という毒の成分があって、それを馬が食べると麻酔が効いた様な状態になるという事から名付けられた名前です。
お酒では無いんですよね。麻酔。そんなアセビには春先になると白い花が付いたりします。俳句の世界では春の季語として【馬酔木の花】が用いられるとかなんとか。
しかし花屋には年中流通します。花を観賞するよりは枝と葉がメインですからね。花は葉っぱに比べて長持ちしにくいです。なので、今回は花の事には触れずに進めていきます。可愛い花ですけどね。
アセビの出回り時期と価格
アセビは基本的にほぼ年中出回っていて、緑色の葉がワサワサと茂っています。サイズも色々。長さにうよって価格が違います。90センチ前後で400円くらいからでしょうか。
長い物になると1000円を超えるものもあります。
購入するタイミング次第では新芽の時期があって、その時期の葉っぱは柔らかくて持ちが悪くなります。普段はパリッとしていて、カサカサした葉っぱです。
春先から夏前頃がそんなイメージです。
上の写真は8月頃のアセビですが、明るい緑色の葉が新芽です。と言っても、随分と硬くなって普通に長持ちしますが。春先頃はこの部分がもっと柔らかくなります。枝の先端の葉が新芽で柔らかいので、剪定してから使ったりもします。
購入時、柔らかい葉っぱが多かったらもう少し待ってからの購入をお勧めします。
アセビの使い方
アセビはタイトル通り、とにかく使い勝手がよく、長持ちします。そのまま長く使って花瓶に入れてもお洒落な感じがします。
まるで家の中に1本の木が飾ってあるような感じ。ナチュラルというよりは、森っぽい感じですね。フレッシュです。
こういう、枝だけでも飾れてしまう所が大きなメリットですね。難しく考えず、花瓶に入れるだけ。これなら誰でも簡単に楽しめます。枝ぶりも、枝物の中では比較的まっすぐな方ですからね。
ボリュームを出すために他の花と混ぜても良いです。グリーンの枝なので、どんな花でも相性が良かったりします。
フラワーアレンジメントにおける、ベース隠しのエース
そして、個人的に一番よく使う方法が、フラワーアレンジメントの際の、ベース隠し。どういう事かと言うと、フラワーアレンジメントは吸水性のスポンジに花を挿すのですが、花を挿す前のスポンジはこんな感じ。
これが悪いっていう訳では無いのですが、やっぱり隠したいんですよね。どんなに良い作品であっても、こういう内部構造が見えちゃうのは良くないです。見た目は大事。
そんな時はアセビを短く切って挿してやることで、このスポンジを隠す事が出来るって訳です。
一枝ほど切って、
これを短くカットして、
ベースに挿しまくる。そうすると非常に簡単にベース(吸水性のスポンジ)を隠す事が出来ます。この上から花を挿すような感じです。
従来はレザーファンという葉っぱなどが多く使われてきましたが。最近ではこのアセビやユーカリでベースを隠すことが多くなってきました。
実はフラワーアレンジメントやブーケなどの様に吸水性のスポンジの上に花を挿す作品は必ずと言っていいほどこのベース隠しが行われています。とても大事なことで、基本中の基本です。
これが、ちゃんと出来ているかどうか。これはある意味その花屋の実力を知る一つの大きな要因になると私は思っています。
※フラワーアレンジメントとは、木のかごや陶器の器に花が盛ってある作品です。
長くても短くてもとても使い勝手が良いですね。私は常備しています。
おわりに
そうそう、葉っぱに毒があると書きましたが、食べなければ大丈夫です。触れるだけで麻酔が効いたような状態にはなりません。庭木として育てている人も居ますからね。
時間が経つと、少しずつ落葉してきますが、それでも1ヶ月くらいは飾れたりします。ただ、ユーカリもそうなんですが、非常に水を吸います。
さすがに1日で吸い尽くすようなことは無いと思いますが、時々は水を足してやって、その生命力、生きる力も感じて頂けたら良いなと思います。
少々マニアックな内容でしたが読んで頂きありがとうございます♪似たような使い方の植物、枝物の記事も有りますので良かったら読んでみてください♪
フローリストの いろはでした♪