お見舞いに花を持っていく事
お見舞いに花束やフラワーアレンジメントを持って行く事は、数年前までは割と定番でした。
大きい病院の近くにある花屋の知人も、「不謹慎かもしれないけど、お見舞い用の花が売れて、助かる。」なんて言ってましたから。
なんなら、病院の売店に花が売ってたりとかも普通にあったんですけど、最近は持ち込みNGな病院が増えて来ました。というより、それが当たり前になりつつあります。
花を扱う私の立場としては少々複雑な気持ちではありますが、やはり花がトラブルの元になる事が1番悲しいです。なので、私は持ち込みNGな事は仕方のない事だと思います。
色々難しい問題ではありますが、持ち込みNGな理由と、せっかくなので代わりになりそうなものを紹介してみたいと思います。
花が病院へ持ち込み禁止になった理由
入院されている方へ花を贈る理由は、花が好きな人へのお見舞いの手土産としてはもちろん、そうでない方であっても、病室に花を添えて華やかにしたり、癒しにしたり。綺麗な花、可愛い花を見て楽しんでもらったり。
そこには様々な気遣いや考えが有ります。
また、生花に関しては、【枯れる事】をプラスに考えて花が枯れる頃には元気になる、花に終わりがあるように、その入院生活にも終わりが来るという、入院生活が早く終わる事を願う気持ちを伝えるという一面も有りました。
しかし、やはり病室って、複数人居られることも多いですからね。病院には沢山の方がおられます。持ち込みNGの主な理由のひとつは、そんな同じ病院という空間に居られる方々への配慮です。例えば、
- 花の香りが苦手な方
- 花粉症などのアレルギーがある方
という方も少なくありません。
また、生花に関しては水やりや傷んだ花の処分、花束なら活けた花瓶の水替えなどの手間も有ります。
看護師さんに頼むわけにもいきませんからね。水替えをせずに茎が腐ると大変ですからね。
ある程度は動ける方なら安心かもしれませんが、入院中に手を煩わせるのもどうかなと思いますよね。
細菌による感染症のリスク
これは、専門分野では無いので触れるべきか迷いますが、【緑膿菌】【アスペルギルス】などの菌が花にはあって、抵抗力が低い患者さんへ感染するリスクがあるとの事です。
もっと細かい事まではわかりませんが、近年急速に花の持ち込みがNGになった背景はこれが原因です。
常在菌といって、普通に世界中のあらゆる所にある菌の一種で、健康な人に感染しても発病はほとんどしないらしいです。そうでないと、花を扱う仕事なんて出来ませんからね。
体が入院しないといけないくらい弱っていたり、抵抗力が弱まっている人に感染する事が有れば、マズイという事でしょうか。
果物や食事の持ち込み、土足でのお見舞いなんかも、そのうち色々変わるかもしれませんね。アレルギーとかもあるし。色々気を付けたい昨今です。
それでも花を贈りたい人は
それでもやはり花を贈りたい方はドライフラワーを、と言いたい所ですが、ドライになった花は見ていて元気になるのかな?病院の雰囲気を暗くしてしまうような気もします。
なので、ドライフラワーなら枯れた雰囲気のものではなく、ハーバリウムの様に色彩も豊かで明るく瑞々しい雰囲気が出せる物が良いと思います。光の具合で見え方も変わって楽しいですからね。お勧めです。
それか、いっそのこと退院後に快気祝いの花を贈るのが良いと思います。新しい気持ちになれますから。
今を生きる生花をぜひ贈って欲しいと思います。深く考えすぎかもしれませんが、生花は見て感じて、心で楽しむものですからね。
生花のプレゼントは、その時にしか育っていない、言うなればその人の為に育った花のプレゼントとも言えます。同じ時間を生きる感じです。
ぜひ瑞々しくてフレッシュな花を、退院の門出に添えてあげる気持ちで贈ると良いのではないでしょうか。退院を喜ぶ気持ちとしてお渡し頂けると思います。
お勧めなもの(花以外)
入院中の困った事と言えば退屈さとストレスです。(もちろん、病気や怪我の具合によります・・・。)
そう考えると、花以外で喜ばれるものは、やはり食べ物です。もちろん、制限が無い場合ですが。好きな食べ物を食べるとストレス発散にもなる様です。まさに入院中に嬉しいものです。
また、雑誌や本なんかも喜ばれるようです。楽しい気持ちになれるものが良いと思います。これもストレス発散。
やはりストレスが多いですからね。楽しい気持ちになれる事を優先して選ぶと良いと思います。
ただ眺めるだけのものより、食べる、読む、聞くなど無理のない範囲で動けるものが退屈な時間も解消してくれて良いと思います。
あと、基本的には持ち帰りに困る様なものは避けた方が良いです。荷物が多いですからね。
私が聞いた中で印象的な一品
ちょっと変わった贈り物。早く退院したいなって元気になるものや、意外性があって楽しいものを紹介します。主に親しい人へ。
①靴
昔テレビか何かで見ましたが、靴のプレゼント。靴って外で履きますからね。これは新しい靴で、病院から出る。元気になって外を歩けるようになることを願っての事だそうです。好みがバッチリ分かるほど親しくないと難しいですけどね。
②塗り絵
何歳になっても楽しいみたいです。最近では大人用の塗り絵も有ります。100均で色鉛筆も塗り絵も揃っちゃう時代です。手さえ動けば出来ますからね。男性ならプラモデルとかも良さそうです。
③お食事券など
これは靴と同じで、病院の外で使えるもの。退院後を見据えたプレゼントは、『早く元気になって使いたいな』って思てもらえる粋な一品ですね。何かのチケットは使う楽しみがありますね。
④ハーバリウム
生花がNGでも、生花の様に明るくフレッシュな雰囲気を楽しめます。菌の心配も無いし、水替えも不要です。場所も取らないし、置き場も困りません。私の中ではイチオシです。
自宅へのお見舞いでもNGな植物
花の中でも、鉢物と呼ばれる土に植えてある植物は、病院であろうと御自宅で療養中であろうとNGとされています。
【根付く】という言葉が、病気などを体に根付かせるとして避けられて来ました。
そんなわけ、ないんですけどね。数字の4を忌み嫌う感覚に似てますね。そんな事言いだしたらね・・・。って感じですけど。
おわりに
花も色々と手間が掛かるものがありますからね。基本的には数日置きに水をサッと変えて茎を切れば良いのですが。
細菌とかはよくわかりませんが棘とか樹液とか気になる事もあるので、お見舞いの花に限らず気になる事は花屋に聞くと良いと思います。
なんかお見舞いで使えそうな花を開発すれば、沢山の人に喜ばれるかもしれません。
読んで頂きありがとうございます♪
フローリストの いろはでした♪