よく聞く名前だけど、見たことない花ってありませんか?歌の中に出て来たり、テレビとかで、何となく聞いた事があるんだけど、見た目がどんな感じか知らない花って、ありますよね?
『これ、〇〇っていう花なんですよー』
『えぇ⁇これが、あの〇〇ですか?』
『はい、あの〇〇です。』
花屋で接客していると、よくあるんですよね、こんな会話。
どんな形であれ、1つの花の名前を知って頂く事はとても嬉しい事です。しかし、やはりその姿も知ってもらいたい。
という事で、今回は私の実体験から勝手に選んだ、名前が先に走っちゃった花の紹介です。
名前は知ってるけど、姿は知らない。そんな花達の紹介です。これを機に、その花により一層の興味を持って頂けたら嬉しいです。
結構たくさんあると思うので、思い付いたらまた増やして行きます。温かい目で見てやってください♪
ナデシコについて
という事で、今回は【ナデシコ】という花の紹介です♪
漢字で書くと【撫子】、平仮名で【なでしこ】と表記する事もありますね。
なでしこジャパンとか、大和撫子(やまとなでしこ)とか。よく出て来る花の名前です。また、秋の七草としてもよく知られています。
しかしこの花、姿を知ってる人って意外にも少ない。まさに、名前が先走った花なんですよね。
とても種類の多い花なので、主に切り花として流通している、花屋で購入可能なナデシコを紹介していきます♪
とても素敵な歴史があって、日本人に愛されて来た花です。それも魅力として伝えていきたいと思います。
撫子(ナデシコ)の種類
まずはこちら
【美女撫子】または、【アメリカナデシコ】または、【髭ナデシコ】。
何で3つも名前があるのでしょうか。お好きな呼び方でどうぞ。多分、どれでも伝わるはず。
何となく、響きが素敵な順番にしただけです。
とてもカラフルです。主に赤系統の色が多いです。白もありますね。良い意味で草花っぽくて、親しみやすい花です。
お値段も手頃な事が多いですよ♪100円しない事もあります。
次に、こちら
【ソネット】。これは、カーネーションとの交配種です。何となく、というか、かなりカーネーションに似てますよね。
主に【ソネット〇〇】という名前の品種が出回っていますが、時々ソネットと付かない名前も見かけます。
枝分かれしていて、可愛いですね。カーネーションよりも、花びらがヒラヒラしていて、どこか和風を感じる花です♪活け花でも使われたりします。
カーネーションよりは全体的に細く、良い意味で素朴な感じもします。
次は変わり種。
【てまり草】です。
唯一無二の、個性を持っています。和風な感じと相性が良いですが、洋風でもいけます。
芝生みたいですよね。これは、美女ナデシコの花びらが無いバージョンだと思ってください。
茎もしっかりとナデシコです。余談ですが、枝分かれしてるかどうかは、運次第です。
その他、ラベンダー色が多い【ハマナデシコ】や、糸を引いたような花びらの【伊勢ナデシコ】なんかもあります。
切り花でよく見るのはこの辺でしょうか。本当に種類が多いので、まだまだありますけどね。
ナデシコとカーネーションの違い
ナデシコの種類でソネットの紹介をした時に軽く触れましたが、撫子とカーネーションってそっくりですよね。この画像も、茎と葉はそっくり。
それもそのはず、実は両方ともナデシコ科ナデシコ属に分類されるので、同じ種類の花なんですよ。
カーネーションは別名としてオランダナデシコ、ジャコウナデシコなどもありますからね。
ただ、カーネーションがとても流通量が多いので、ナデシコから分けて扱われているんです。本当にそれだけです。
もちろん、交配や改良を重ねているので、しっかりと見た目で違いを出せていて、同じ種類なのにそれぞれの魅力がしっかりとあるのも事実です。
今となっては、花屋では同じ扱いはしません。
ナデシコの原産地
【ナデシコ】は沢山の品種の総称ですが、またの名を【ダイアンサス】と呼びます。
というのも、原産国が南アフリカの方や、ユーラシア大陸に広く分布している(定かではない)という事だったりするんですよね。海外でも広く愛されていますからね。
バラをローズって言ったり、菊をマムって言うような感じでしょうか。世界中で愛される花は、たくさんの名前を持っていますね。
大和撫子の意味と歴史と由来
ところで、よく聞く言葉に【やまとなでしこ】ってありますよね。あれって、どういう意味か知ってますか?
簡単に言えば、清楚で美しい日本の女性を表現する言葉です。誉め言葉ですね。また、男性を立てる仕草や行動、考え方を持つ女性に使われる時もありますね。
一歩下がって歩いているイメージでしょうか。
そして、そんな清楚で美しい女性の在り方を、植物に例えた時に一番しっくり来たのが【撫子】だったんですね。
なんと言っても、あの万葉集の中でも女性を撫子に例えていますからね。大昔からですから、よほどピッタリな表現だったのでしょう。
しかし、この【大和撫子】という表現は、江戸時代頃から使われています。それまでは女性に例えられることはあっても、大和撫子という表現は使われていません。
そもそも、【大和撫子】という言葉自体が存在してなかったんですね。
大和撫子と言う言葉が生まれた背景は、江戸時代に中国から【唐撫子】というナデシコがやってきます。
その時に、日本原産の【河原撫子】(かわらなでしこ)とその【唐撫子】とを区別するために河原撫子を大和撫子と呼ぶ様になったそうです。
そして、その頃に日本女性を称賛する言葉として大和撫子が使われるようになった。響きが素敵ですもんね。
つまり、大和撫子って、河原撫子の別名でもあるんですよ。
しかし、古くから女性を称賛する言葉として使われて来たので、少し時代錯誤な部分もあるかもしれません。
時代に合わせて、どんな女性を【大和撫子】と呼ぶかは変化して行くと良いですね。
ややこしくなりましたが、ざっくり言えば、大和撫子と言う言葉は江戸時代から使われるようになった。でも、もっと昔から、清楚で美しい女性は撫子みたいだなーって、思われていたんだよー。
そんな感じです。
おわりに
いかがでしょう。万葉集の頃から愛されてきた花が、普通に花屋さんで買えます。結構ミラクルじゃないですか?
どんな花も改良はされますけど、その当時の面影を色濃く残しています。遺伝子をしっかりと受け継いで、今の時代に咲いています。
ちょっと部屋に飾って、江戸時代や万葉集の頃に思いを馳せてみてはいかがでしょう。大昔にも誰かがその花を可愛がって、育てて次の世代に引き継いで来たからこそ、今の花が有ります。
撫子は、特にそういう歴史が感じられる花だと思います。
読んで頂きありがとうございました♪
フローリストの いろはでした♪