はなめも。~花屋のメモ帳~

現役フローリストが語る花と花屋のあれこれ。初心者向けにわかりやすく書いてます。花生活を始めませんか。

芍薬の上手な咲かせ方と、花屋で選ぶ際のポイント

芍薬について

初夏の花

フローリストのいろはです!4月も終わりに差し掛かり、初夏の花が店頭に並ぶ季節になって参りました。

 

初夏の花といえば、切花としては【アジサイ】【テッセン(クレマチス)】【芍薬】などがメジャーな花と言えます。

 

ちなみに、アジサイはわかると思いますが、テッセン(クレマチス)はこんな花です。

これは【ベルテッセン】ですが、もっと大輪の

こんな感じのテッセンも有ります。

そして今回紹介するのはこのテッセンではなく、【芍薬】という花です。

 

初夏の花として、アジサイやテッセンに並んで大変人気のある花ですが、ちょっと変わった特性があったりします。

 

それにしても、芍薬という花、そもそも御存知でしょうか?花に関わっている人なら知っていると思いますが、あまり詳しくない人は知らないかもしれませんね。

 

 

芍薬と牡丹

芍薬は、日本にとって馴染みのある花、【牡丹】によく似た花です。切り花として流通する場合、大きな違いとしては、

 

牡丹は1月~2月頃、芍薬は初夏に出回るという事でしょう。

 

また、葉の形も違いますし、価格も牡丹の方が圧倒的に高いです。芍薬は安い時は200円位からありますが、牡丹は1000円を超える事もザラです。

 

見た目で言えば、牡丹の方がゴツゴツした感じです。

 

原産地も違いますし、牡丹の方が古くから親しまれて来た花と言われています。大昔の日本画なんかにも書かれていますからね。

 

しかし、海外では一括りに【ピオニー】という名で呼ばれています。実際には別の植物なので、よく間違えられます。

 

立てば芍薬、座れば牡丹・・・

立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花 という有名な言葉が有ります。

これは、美人を例えた言葉として、昔から言われてきた言葉です。

 

どんな仕草であっても美しい。そんな女性を表す際に用いられたそうです。その位、牡丹も芍薬も美しい花として、人々の心を魅了してきた歴史があるという事ですね。

 

芍薬の開花調整

そんな美しい芍薬ですが、【開花調整】が難しいという一面が有ります。これが先程の芍薬の特性という事になります。

 

 

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そもそも、開花調整とは、任意のタイミングで花を咲かせる事です。なぜ芍薬の花について、そんなことを考える必要があるかというと、満開と蕾で大きさが全然違うからなんですよね。

これは、真ん中が蕾で、左が8分咲きくらい、右が満開です。全て同じ時期に仕入れて、温度調整で開花時期をずらした状態です。

 

いかがでしょうか。全然違いますよね。これは芍薬の中でも一番最初に出回る【さつき】という品種で、3月下旬頃から早々に出回り始めます。

 

蕾の固い芍薬は、普段家で飾る分には 満開になるまでとても時間が掛かるので、ある意味長持ちするというメリットになります。

 

しかし、この手の固い蕾の芍薬は、咲かずに終わってしまう事が有ります。なので、それを回避するためにも開花調整は非常に有効な手段となります。

 

具体的な方法としては、

 

  • ある程度の気温(20度くらい)の中に置く。
  • 花の外側の蜜を濡れたティッシュで拭き取る。
  • 葉っぱをなるべく取る。
  • ある程度、蕾の膨らんだ花を選んで買う。

といった事が有効となります。

 

花の開花は気温が上がると進みます。また、葉っぱを取る事で花の部分に必要な水が届きやすくなります。

 

蜜に関しては、花びらが蜜で粘着しているので、それを取る感じです。糊を拭き取るような感じでしょうか。

 

そして、そもそも咲きそうな雰囲気の花を選ぶ。咲き始めている花を選ぶ感じでしょうか。

 

咲きやすい芍薬

同じ芍薬でも、今年初入荷したこちら【滝の装い】は、個人的にイチオシの芍薬です。

これは芍薬の中でも比較的早くから入手可能で、咲きやすい事が多い品種です。

蕾から咲く過程を並べてみました。初めからこんな感じで咲きそうな雰囲気で蕾が大きめに膨らんでいて、花の色が出ています。

 

ちなみに、この品種もやはり葉っぱを取ってやったり、気温を調整したりすることで開花調整が可能です。

買ったのに咲かなかった!という残念な事にはなりにくい品種です。

 

その分、気温次第ではすぐに満開になって終わってしまうので、こういう咲きそうな品種は、逆に涼しい所での鑑賞が良いかもしれませんね。

 

 

芍薬の管理

芍薬は花瓶に飾る前に、必ず【水切り】という作業が必要になります。水中で茎を切る方法で、切ってすぐに花瓶に入れてやります。

 

その後も、急に気温が上がってきたり、風で乾燥したりすると水を切らしたように葉っぱがシナシナになるので、その都度【水切り】を施してやります。

 

まあ、何か洗面器とかボウルに水を張ってその中で茎を切るだけですが、水に浸けずに切っても効果が無いので、必ず水中で切りましょう。

 

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おわりに

春の終わりと共に、初夏の花が出回る季節です。芍薬は特に出回る季節がピンポイントです。輸入の芍薬が10月頃に出回りますが、価格が手ごろで種類も豊富なのは、やはり5月頃です。

 

これから花屋の店頭にもたくさん並びますので、購入の際は何かの参考にしてみてください♪

 

いろはでした♪