今週のお題「わたしとバレンタインデー」
『下駄箱、OK。引き出し、OK。後ろから誰か来ているか?OK、誰も来ていない。』
OK,いつも通りの日常だ。
いや、待て待て。まだわからんぞ。
自宅にて、母から頂いたチョコを食べながら、電話の前で待機だ。呼び出しがあるかもしれん。
誰かがチョコをくれるかもしれない。甘い期待と、苦い現実。
私のバレンタインデーは、そうやって毎年毎年、慌ただしく過ぎていくのでした。
そんな当時を振り返ると、思い出すだけでも恥ずかし過ぎて、火が出そうです。
しかし。誰にも聞いてないけど、男子は昔、みんな、こんな感じだったのでは無いかな?
そんな私が初めてスイートなチョコレートをもらったのは19歳の時。専門学校に通う、当時の彼女からもらった 多分手作りのチョコでした。
多分、というのは、どこまでが手作りなのか、境界線がわからないから。
市販のチョコを溶かしたものは手作りなのか。粉末や豆を使って作るのが手作りなのか。
1つわかる事と言えば、そんな事どうでも良くて、どっちも飛び跳ねたくなる位に嬉しい。
初めてのチョコレート。
思えば長い長い道のりだった。それまでに起きたバレンタインの出来事と言えば、
・突然女の子から電話が掛かって来る。冷静を装って電話に出る。
『あのさ、お願いがあるんだけど〇〇君に』
以下省略。
・帰り道、突然女の子に呼び止められる。チョコを渡される。
『あのさ、これ〇〇君に』
以下省略。
・教室で手作りチョコを渡される。その後、友人とお揃いのチョコを食べる。
一瞬の甘い期待。その後の落胆。
まさにスイート&ビター。私のバレンタインの後味は、いつもビターな感じ。
そんな私は、初めてのチョコレートをもらった時、気になっていた事を聞いてみました。
『女の子ってさ、大変だよね。バレンタイン』
『まあ、人によるんじゃない?』
そう、そんな事はわかっていました。しかし、
私にはどうしても気になる事があったんですよ。
『チョコ、男友達にもあげるの?』
・・・。
『女の子同士で交換するよ』
『へ?』
不思議に思っていたことがあったんですよ。
どう見ても彼女のカバンがいつもより大きく、
カバンを開けた時、カバンの隙間からチョコの袋が見えた。
お父さんや弟にあげるかもしれない、なんていう事は微塵も頭になかった。
本当に聞きたかった質問は、こうだ。
『その鞄の中のチョコレートは、一体誰にあげるつもりなんだい?』
『この後、誰かに渡しに行くのかい?』
結局、思っていた事を全部打ち明けて、盛大に笑われて。疑った事も笑って許してくれて。
『これ、もらったチョコだよ』
そう言って、たくさんの【友チョコ】を見せてくれました。
そう、私の人生初のチョコレートは、苦味の後に甘い現実が待っていたんです。
ビター&スイート。ビターのちスイート。
後味はスイートな感じ。歯にしみるくらい甘い青春です。
今では良くある事らしいですね。女の子同士でチョコをプレゼント。当時は画期的でした。多分。
多分というのは、ただの私の無知かもしれないからです。
スイート&ビター。ビター&スイート。これが、良い。【甘さ】と【苦さ】。
苦味を抑えるために 甘さを加えるのは、コーヒーや子供のお薬と同じで、
大人なら、甘い中に敢えて苦味を加えるべきかもしれない。
しかし、そうやって、甘くも苦くもない 無難な味を楽しむことは、
どこか面白くない。退屈な味しかしない。
例えるなら、アンパンマンとバイキンマン。どっちも居ない、平和な国のアニメは、やはり退屈しちゃうかも。
やはり、甘いのと苦いのと。押し寄せる波の様に次々と味わっていたいですね。
両方を楽しんでこそ、最高の人生ですね。
苦い思いの後の甘さは、いつもより、ずっと甘い。
私がバレンタインで初めてチョコを頂いたお話しでした。