はなめも。~花屋のメモ帳~

現役フローリストが語る花と花屋のあれこれ。初心者向けにわかりやすく書いてます。花生活を始めませんか。

フローリストの仕事って何がある?あまり知られていない一面を紹介。

フローリストの仕事

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フローリストのいろはです!今回は花屋の仕事について紹介したいと思います。フローリストの仕事と言っても多種多様で、花束やフラワーアレンジメントの販売はもちろん、御葬儀や結婚式の仕事、大きなディスプレイ用の花等、本当にたくさんの仕事が存在します。

 

店舗を構えていない、いわゆる裏方の様な仕事をされている所も沢山あったりします。花屋の仕事というよりは、花に関わる仕事という感じでしょうか。

 

もし花屋の仕事をしてみたいなって思う方や、花屋の仕事に興味がある方の参考になると良いなと思います。

 

店頭販売

説明不要の店頭販売、花屋のスタッフとして接客、販売、配達なんかを行ったりしますね。実はこの業務の中にも、ちょっと変わった形態の業務をこなしている花屋が多数存在します。基本は店頭販売と一緒に行っている事が多いですが紹介します。

 

①花材販売

花材というのは 普通の切り花の事ですが、花束やフラワーアレンジメントにせずに、そのまま包んで販売する形態です。

 

お客さんとしては、スクール講師、活け花の先生、個人で仕事をしている人等が挙げられます。中には、料理に使う(彩として添える)という目的で注文される料理人のお客さんも居たりします。

 

市場から直接仕入れた方が安いのですが、花の仕入れには最小ロットというものが存在し、10本単位や25本単位、100本単位等で買わなければならないんですね。これを解決するために、花屋さんから必要な量を買うというわけです。仕入みたいな感じでしょうか。

 

必要な日に合わせて、花屋さんに欲しい花材と量を相談して、予算に収まるように調整します。例えば毎週、決まった曜日にレッスンや講習があるお客さんを抱えると、安定した収入が見込める為、花屋としても嬉しい限りですね。

 

②会社や法人と提携

これも安定した収入が見込める仕事ですね。

 

例えば送別会や離任式での会社や学校等から注文を頂くこと、開店祝いの花など、法人のお得意様に対して販売する事です。少し割引して販売したりすることも多いです。指定のラッピングがあったり、企業名の入ったメッセージカードやシールが使われたりします。

 

また、最近ではコラボレーションや、プレゼント特典として花を用いる事も多くなりました。【お買い上げの方にはもれなくカーネーションの鉢をプレゼント!】というのは母の日が近くなるとよく耳にする事でしょう。

 

御葬儀専門

【御葬儀の花を専門】にやっている花屋さんも存在します。

 

お葬式の際に、名札が付いた花を沢山見たことがある方も多いでしょうし、注文したことがある人もきっと多いかと思います。

 

花屋さんに注文する事もありますが、葬儀場のスタッフの方が注文の窓口になっている場合は、提携の花屋さんに注文が行く訳ですが、そういった下請けとしてやっている花屋さんが多いですね。

 

名札の付いた花はもちろん、大きな仕事として祭壇の飾りを手掛けたりします。かなり裏方の仕事であると同時に、高い技術力と、一回しか訪れない場面に花を飾るという大変な責任感のある立派な仕事です。

 

注文が来るタイミングもわからないし、規模もわかりません。当然、大量の花のストックを必要とする仕事です。なので、葬儀に使える花だけを仕入れて、専門としている花屋さんが存在するわけです。

 

もちろん、通常業務と併せて行う花屋さんもあります。ある程度の作業場も必要なため、規模の大きな花屋さんが多いです。

 

活け込み専門

企業のイベントや、旅館やホテル、お店のフロアなどに 花を直接活けに行く仕事です。閉店後や開店前が多いですね。また、様々な式典等でも活躍する仕事です。

 

主に都会の方が中心ですが、大きな仕事して国会や株主総会、テレビ番組の花を飾るなどの仕事も有ります。

 

確かな実力と、人脈を作っていくという多様なスキルが求められる仕事です。私はテレビのちょっとした花(ローカル番組の机の上)や、学校の式典の花、旅館の活け込みなんかは良くやっていました。スナックなんかも有りましたね。

 

有名フローリストになると指名して頂けるようですね。遠い世界の話の様に聞こえます・・・。

 

卸業者として

スーパーやデパート、どこかの売店なんかに花を納品していく仕事です。数本束ねて、セロファンか何かに包んで納品します。

 

数の勝負ですね。ひたすら作っては納品の繰り返しです。お盆の頃になると、お墓の近くに出張販売していたりします。

 

楽しいかは正直わかりませんが、多くの人に気軽に花を手に取っていただくための、非常に重要な仕事だと思います。価格も安い事が多いのでとても大変だと思います。

 

ある意味、一番身近な花なのかもしれませんね。私も遠方の墓参りの時なんかは普通に墓の近くの店で買っていきます。あるとありがたい限りです。

 

庭園や公園などに専属で花の苗を収める花屋さんも存在します。維持管理を任せられていることが多く、開園前や夜遅くの作業になる事も多いと聞きます。

 

多くの人の目に映る花を扱うので、とても大事な仕事だと思います。

 

行事の花専門

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これって、今までの紹介の中でもちょっと内容がすぐには浮かんで来ないんじゃないかな?私の知る限りですが、かなり特殊です。お会いしたことは殆どありません。

①榊、小松専門

若い方はそもそも何の事かわからないかもしれませんね。月末と15日に、榊や小松を神棚に飾ったりします。会社として飾っているところも多いでしょう。(ちょっと宗教的な部分や信仰の事もあるので、詳細は控えておきます)

 

どんなものかっていうと、小松は松のミニサイズで、榊は神社で神主さんが持っている葉っぱの付いた枝みたいなやつです。他にはシキミ(花の木)、シブキなんかを飾る事もあります。

 

これらをひたすら量産する仕事です。多分、需要が減りにくい仕事ですが同じものを正確に延々と作り続けるという人によってはかなりキツい仕事です。

 

木を切って来て、ひたすら束ねる。価格もそんなに高くないので量産しまくる感じです。

 

私も以前、花屋で作っていたことがあります。専門では無いのですが、それでも毎月2回は200束とか作っていたと思います。

 

需要が変動しにくいので、必要な量だけ作れば、ほぼ完売します。

 

②門松、しめ縄専門

これもなかなかトリッキーな仕事ですね。門松って飾った事ありますか?各家庭用に小さい門松を作るのはもちろん、30000円や50000円、なかには100000円を超えるようなものまで存在します。

 

これらの大きな門松は主に企業やお金持ちの方の玄関先に設置されたりします。

製作、設置、撤去までが一連の仕事となっています。

 

竹や松を大量にそろえて、それに花を添えて。倒れない様に特殊な作り方がしてある、職人魂の詰まった素晴らしい作品ですね。日本の伝統文化として後世に残していきたい貴重な技術の1つですね。

 

花屋が窓口になっていることも多いです。

 

リース(レンタル)専門

これはお会いしたことがあるんですよね。

観葉植物のリース、メンテナンスを専門に行います。会社はもちろん ホテルや旅館などがメインになります。大きい観葉植物は買うのも大変ですし、枯れたらショックです。そして処分に困ります。

 

リース先では植物にとって良い環境に植物を置くよりは、やはり空間の演出を最優先します。

 

室内の日光が当たらない所や空調近くに植物を置くことも多く、そういった時には入れ替えて持ち帰ってメンテナンスをしたりします。

 

大体、月々の金額を決めて行う事が多いです、当然 納品先の営業時間外の仕事になるので大変な仕事ではあります。また、植物を管理するための大きな施設が必要です。

 

おわりに

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他にも専属デザイナー(花のカタログ掲載や資材の使い方やディスプレイを提案する)とか、ドライフラワー専門、ブライダルのスタッフとして働くなど、様々なフローリストが存在します。

どれも素晴らしい仕事で、比べる事は出来ません。

 

しかし、もし就職するなら、その辺をキッチリ調べた方か良いかもしれませんね。個人的にはまずは普通の花屋さん。これが王道ですね。

 

ちょっと長くなりました、何かの参考になれば幸いです。

いろはでした♪